空調設備のマサカ⑭
2023年02月10日
◇空調設備設計の余裕率
省エネルギーの手段の一つに省エネチューニングがある。建築設備の使われ方に配慮して、運用により省エネルギーをはかろうという手法である。
この場合に必要なことは、設計条件と実際の負荷(使用条件)の違いを把握することである。
一例をあげれば、在室人員と一人当たりの外気量が分かれば、外気量削減による省エネには安心して取り組める。また、計算上の照明負荷が実態より大きかったり、在室人員が設計条件より少ない場合は、空調機の送風量削減が可能である。
その他設備設計上の余裕は、設計条件だけにあるのではない。最終的な機器容量決定に至るまでの設計過程のあちこちに余裕率が含まれている。これがどの程度になるか?冷水負荷に関する熱負荷年間発生頻度分布については、事務所ビルの事例では、100%負荷の運転時間はほとんど無く、運転時間の半分は20%以下の負荷である。図が挿入できないが、「都市ガス空調のすべて」(空気調和・衛生工学会編)のグラフによれば、部分負荷運転時間が長いことが分かるであろう。
機器類の選定は最大負荷に対応しなければならないから、熱源機器、空調機、ユニット機器からダクト・配管、そして吹出し口にいたるまで、最大負荷対応できるようになっている。
その上、余裕率がある。これがどの程度のものであるか、国土交通省大臣官房官庁営繕部設備・環境課監修の「建築設備設計基準 平成18年版」により、空気調和設備について調べてみた。