衛生設備のトラブル50(学芸出版社1985.07.20発行より)④

2022年01月24日

これまで挙げられているトラブルはマンション建設が多くなった初期の事例である。したがって、『マサカ』というよりは『マタカ』の事例に属する。これらについてはその後設計・施工・メーカー各社の技術基準等が決められていること思う。問題は技術基準通りやらなかったらどのようなトラブルが発生するのか?そこまで関係づけられたものは見たことがない。あえて、『マタカ』の話を取上げている所以である。

(7)横道にそれた汚水―横管空気抵抗で水位上昇―

  • 集合住宅で、大便器に着色汚水が流入するというトラブルがあった。排水通気システムは単管式で、発生個所は最下階住宅であった。
  • 原因は大便器排水管の竪管接続部への配管が逆勾配であったことと、最下階の曲がり管が小曲管を2個使用しており、排水量が大量の場合流下水が停滞して大便器に逆流するためであった。
  • 対策としては、大便器汚水の接続管がフレキシブル管であったので、床高を修正した。

(便器を若干上げるだけでいいと思うが?)また竪管の株は45度曲がり管を2個使用した。

(コメント)これも、通気管を必要としない単管式が輸入・開発されて以降のトラブルである。外国製をはじめ各社がいろいろな方式を開発したが、初期には上記の様なトラブルが沢山発生した。現在は各社技術基準が決められており、最下階の排水は別系統とすることが多い。

(8)無理な施工で全館停電―危険予知の警告を無視するな―

  • 特高電気室上階の一階に入居するテナントがレストランとなり、厨房設置の危険性を申し入れたが、条件付きで入居、施工された。厨房床洗浄は絶対に水洗いしないという条件であったが、沓摺が厨房床より10㎠高かったため水洗いが行われており、入居後1年10か月後に客席側に滞留した水が、電線管を伝わって特高電気室の煙感知器より漏水し全館停電となった。
  • 対策としては、厨房内防水層を立上げ、沓摺も5cmほど高くし、厨房床清掃はモップでのふき取りとするよう申し入れた。

(コメント)設計者側にいたものとしては、このようなプランニングは絶対にやってはいけないことである。特高受電という事はそれなりの規模の建物と言えるので、特高受変電室上部に飲食テナントが配置されることはありえない。設計上の問題である。

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