衛生設備のトラブル50(学芸出版社1985.07.20発行より)⑤
2022年01月28日
前回に書いただけでなく、本書には『マタカ』の事例が多い。紹介記事も簡単であって要約しなければならない事もない。本書が書かれたころ(1985年)では『マサカ』であっても、現在では常識であるような事例を細かく紹介してもしようがない。したがって事例によっては状況説明のみのものがあることをご了承ください。
(9)曲りが嫌いな排水立管―空気と水の入れ替わりで混乱するー
- 事例➀:パイプシャフトの位置が上下階で違っていたため、排水機能障害が起こり、竪管底部に近い横管近くトラップで、排水が吹き上げた。
- これについては排水管内の空気と水の流れについて、解説。横管内での空気と水の入れ替わりが難しいことと、高速で落下した排水が、最下部曲部に衝突し減速するが、横主管に高速で流入するため空気が圧縮され、空気圧が高くなると、縦間に逆流平衡しようとする。
- という事で横主管の空気を逃がすための通気管が必要である。この場合は、下階竪管頂部に伸頂通気が取れなかったので、シャフト内立管の中途にある掃除口から通気管を取出し外壁に通気管を設けた。
- 事例②:一管式排水方式で、最下階曲管が1階天井で横走りして立ち下がる場合にも、排水障害が発生した。
- 横管の圧力変動は事例①と同じであり、横管で圧力変動を生じると思われる部分に通気管を多とあげ、上部の排水管継手に接続した。
(10)掃除が出来ない排水管-住居専用部分にある:取り替えられないー
- マンションやテナントビルの排水管の清掃のためには、室内に入らないと出来なかった時代の話である。ただし現在でも排水管には、日常の掃除には使わなくても、障害物で詰まった際のための掃除口があい、シャフトの点検口は勿論設けてある。
- パイプシャフトが共用部に面するように計画されている方が望ましいのは、勿論である。
(11)凍結はトラブルのもと―水道メーターも凍結防止をー
- 高層住宅での凍結事故事例である。マンションの水道メーターシャフトはガスメーターも設置されることが多く、その場合は、上下にガラリが設置されているので、高層部では、風による冷却効果で凍結事故が発生することがある。
- 水道メーターの凍結防止対策としては、専用カバーの取付け、配管類の断熱の他に、シャフト点検扉の早めの取付け(取付け未了部にはメーターを付けない)等があるが、メーターシャフトの計画時に、痛風に配慮しておく事も必要である。