衛生設備のトラブル50(学芸出版社1985.07.20発行より)⑲

2022年04月22日

(7)排水にまつわるトラブル

46)大は小を兼ねないー勾配不足で汚物が停滞するー

・ホテルの客室の下の階の大宴会場の改修を行った。折り上げ天井のため天井内の汚水横走り主管は周囲に配管する。竪管は2系統をまとめて横走り管で主管に接続する。横走り主幹は勾配が少ないため配管口径を太めとした。

・使用開始後数か月で、最下階客室での排水吹出しや、トラップの封水が激しく上下する等の現象が起きた。

・原因は排水量の算定が過大で関係が大きすぎるため、下記の現象により、管内の空気圧力が瞬間的に変動したためである。①主管の水深が十分に取れないため、水だけが先に流出し、汚物が管底に付着する。②滞留する汚物に次の排水が乗り上げる。③上流の汚物の滞留時間が長くなる。④このような状態が繰り返しで排水管に圧力変動が起きた。

・対策としては、排水管に手直しは出来ないので、①客室系統の排水主管の上流より、他多系統の水を流入した。②主管内に最低水深を維持させた。

(コメント)この本では上記の対策で解決したとあるが、②は何を行ったのか不明である。①の対策の結果②となって解決したのであろうが、いまいちはっきりしない書き方である。このような状況では卵型管が理想的な形とある。

(追加コメント)このトラブルに関しては、改修工事以前の状況が書いてないが、多分トラブルは発生していなかったのであろう。宴会場の天井が低いので、横引き排水主管のルートを変更して天井を高くしたものと想定される。そのため配管ルートが長くなって、配管勾配が不足したのではないだろうか。設備トラブルとしては参考になるが、このような背景についても、述べておいてほしかった。

Copyright © 2019-2020  建築設備解体新書 All Rights Reserved.
Powered by Webnode
無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう