建築設備トラブル概論 9 設備トラブルの種類と区分①

2023年07月19日

設備トラブルを大きくエンジニアリングトラブルと建築トラブルに分けたが、これだけでは設備トラブルをとらえることはできない。トラブル防止のためには多種多様なトラブルをどのように把握するか?ここではトラブルの区分けをおこなう。

これを見ると建物をはじめとして、建築設備のあらゆる部分にトラブルの種が潜在していることがわかる。

これらの個々の区分ごとにどのようなトラブルが該当するのかをあげたら大変なヴォリュームとなり筆者の手に余ることである。

9.1 発生箇所・部位による区分

1.設備工事別トラブル

(1)空調設備、衛生設備、電気設備(工事区分別)

建築設備は機械設備、電気設備に大きく分けられ、機械設備は空調・換気設備と給排水設備に分けられる。従って技術の部門・分野が違う夫々の分野毎に特有のトラブルがある。

これらのトラブル事例は関係各社毎にノウハウとなっており、再発防止のために教育されているが、技術者の経験の差によりあちこちで『マタカ』のトラブルが発生している。

これらは、各種トラブル本に紹介されてはいるが、設計者から施工者までの業界全体のものとなっていない事が『マタカ』発生の要因である。

学校教育の場では、このようなトラブル事例が紹介されることはあるのだろうか?

(2)特殊設備・専門設備(上記区分以外)

上記の設備区分以外に、特別な設備が建物に組み込まれることも多い。これらは、通常は関連する設備内容にしたがって建築工事や上位の設備工事に組み込まれることとなるが、事業者から直接発注されることもある。

これらの特殊設備は各専門工事分野ごとにトラブルに関するノウハウは集積されているであろう。しかし再発防止のためにはそれを組込む上位の設備設計者や建築設計者に情報伝達が必要であることはいうまでもない。

事業者から直接発注される場合は別途工事・別発注工事となって、設計監理者やゼネコンの管轄外となる。従ってトラブルに関するノウハウは伝わりにくい。施工のための打合せは必須であるので、トラブル防止の為には、建築・設備との取合いの程度によって、多少であっても管理・監修の費用を払って、設計責任者、総合工事請負者の管理下に置くことが望ましい。

全く関係のない部門に組み込まれた場合や事業者直発注の別途工事の場合は、上位の工事技術者の技術力のサポートが期待できないのでトラブルが発生しやすい。

(3)各設備間及び建築工事との関連

建築物は専門分野の集積であるが、夫々が完全に独立しているわけではない。各設備は建物内に組み込まれるのであるから、各設備と建築の設点は数えきれないほど存在する。この接点部分に隠れているのが建築関連トラブルである。

また各設備相互の間にも業際部分・接点部分が存在する。経験上は、この部分でのトラブル発生は少ないが、全くないわけではない。

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