衛生設備のトラブル50(学芸出版社1985.07.20発行より)⑫

2022年03月10日

(25)騒音の遮断は音源を囲えーポンプの振動・騒音クレームー

  • 事例①:集合住宅の居室の地下に揚水ポンプを設置し、直上階居室に騒音の影響が出た。特にポンプ停止時の逆止弁の衝撃音が大きかった。

(コメント)これもマンション普及時代のトラブルである。逆止弁はスイング式、ポンプ基礎は壁に接続され、架台は防振ゴム防振、防振継手はステンレス製フレキ、上階からの配管吊り金物は防振タイプでないなど、やってはいけないことのオンパレードである。

  • 事例②:集合住宅の半地下式受水槽内に設置した低騒音型水中ポンプの騒音が上階の教室・集会室に伝播した。水槽の上部空間は防音構造、防音対策が設計されていた。コンクリート製受水槽のトラブルは珍しいので取り上げた。
  • 原因・対策:現地測定資料から250ヘルツ以下の低周波音がコンクリートを透過していると考えられ、水中ポンプを松の芯材の板により制作した箱内に収納し、ゴム製筒状の防振継手を取り付けた、結果は良好であった。(コメント)現在ならば、水槽の内側にスタイロフォームを張り付けるところである。集合住宅の地下の浄化槽の音のクレームで、スタイロ版を貼った事例は小生の本で紹介した。

(26)最上階の水の出が悪い―高架水槽の高さが低い―

  • 給水系統で、最上階の器具の水の出方が悪くなることがある。集合住宅では水の使用時間帯が重なるため、特にその傾向が強い。
  • 原因は高置水槽の位置が低く、給水圧力が不足しており、下階での水の使用量が多いことであった。高置水槽をあげる事は出来ないので、各戸に定水量弁を取付けた。

(コメント)器具の最低必要圧力を確保しておくのは設計の問題であるが、マンション普及期では、給水使用量についての認識が甘かったものと思われる。

(27)高置水槽は防水保守障害物―機器基礎の防水層は補修を考えておく―

  • 屋上防水層の上に、ベタ基礎状の高置水槽の基礎があり防水層のやり直し補修ができなかった。昔の高置水槽はこのような形が多かった。現在の基礎は防水層を巻き上げるような形になっており、上記のようなトラブルはない。
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